胆嚢粘液嚢腫(GBM)―重大リスクを回避するための早期診断と手術戦略
🐶 病気の概要
胆嚢粘液嚢腫は、胆嚢内にゼリー状の粘液が異常に蓄積し、胆嚢の拡張や破裂、胆汁漏出につながる疾患です。
特に中高齢犬(例:シェルティ、ミニチュア・シュナウザー、コッカー)に多く見られます。
臨床症状としては、嘔吐・黄疸・腹痛・元気消失などがあり、放置すれば生命に関わる可能性があります。
🔬 診断のポイント
•腹部超音波検査:胆嚢内部の多層構造が「キウイフルーツサイン」として認識されます。
•血液検査:ALP・ALTの上昇、総ビリルビン増加などが見られる場合があります。
📚 学術エビデンス
•選択的(elective)胆嚢摘出術を行った犬では、14日以内の術後生存率が約98%で、長期生存中央値は約1,802日(=4.9年)という報告があります。
•緊急手術群の術後生存率は変動しますが、選択的手術では死亡リスクが大幅に軽減される傾向があります。
•ただし、CBD(総胆管)の先端や遠位胆管に過剰洗浄を行わないでも予後が良好で、術式はケースに応じた最小侵襲の選択が可能と示唆されています 。
🛠 治療戦略
•第一選択:麻酔認定医による全身麻酔設計+輸血準備+集中治療体制下での胆嚢摘出(cholecystectomy)。
•症例によって内科管理(ウルソデオキシコール酸投与や抗菌薬)を検討することもあるが、進行性の治療には限定的で、単独では長期予後に劣る傾向があります。
🏥 アネスの強み
•当院では年間多数のGBM手術を実施しており、麻酔・集中治療・外科チームが一体となって対応しています。
•術前CT・超音波でリスク評価を徹底し、術中輸血や術後モニタリングも万全です。
•術後は、内分泌系のチェックや脂質代謝サポート、食事指導など再発防止策まで包括的に対応しています。
2025.06.24