麻酔科医を志した理由と、言葉に責任を持つということ
こんにちは。アネス動物病院代表の石塚です。
今日は少し個人的な話を交えながら、私が麻酔科医を志した理由、
そしてこの仕事を続ける中で感じてきたこと、特に「言葉の責任」についてお話させていただきます。
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苦手から始まった、私の原点
私が麻酔科を専門にしようと思った理由は、とてもシンプルです。
飼い主様と話すことが苦手だったから。
獣医師になったばかりの頃は、「何でも治せる医者になりたい」という理想を掲げて、内科も外科も必死で勉強しました。
でも現実は甘くありません。
うまくいく日もあれば、そうでない日もある。
常にプレッシャーとの戦いでした。
もちろん、助けられて感謝されることが圧倒的に多く、それが励みになるのは間違いありません。
でも、うまくいかなかった時に飼い主様から受けるマイナスの感情は、
時に心を大きく抉ります。
病院とは、「病気」というネガティブなものと向き合う場所です。
だから、感情も必然的にネガティブになりがちです。
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感謝の声は目立たず、批判は拡散される
私たちの仕事に感謝してくださる飼い主様はたくさんいらっしゃいます。
言葉や態度で表現してくださる方も多く、その一つひとつに心から励まされます。
ですが、そうした感謝の声は、ネット上や口コミなどの公の場にはあまり現れません。
一方で、誤解や不満、虚偽を含むような批判的な投稿は拡散されやすいのが現実です。
アネス動物病院にも、いくつか評価の低い口コミがあります。
中身を確認すると、
• こちらの説明不足による誤解
• 言い方が足りなかった伝え方の反省
• あるいは明らかな事実誤認や虚偽の記載
といったものが見られます。
私たちが反省すべきことは真摯に受け止めて改善します。
でもすべての声に振り回されるつもりはありません。
大切なのは、アネスを信じて来てくださる飼い主様のために改善を続けること。
それだけに集中して、前に進むのみです。
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好きな人とだけ、向き合いたい
私はもともと、会話が成立しない相手と向き合うことがとても苦手です。
だからこそ、できる限り「好きな人とだけ関わる」という選択をしてきました。
麻酔科医として15年間を過ごしたのも、ある意味ではそういった「距離の取り方」を意識してきたからかもしれません。
それでも私は現場に戻ってきました。
やっぱり、誰かの役に立ちたいという気持ちが勝ったからです。
ただ、人間同士である以上、すべての人と心から向き合うことは難しい。
信頼や敬意がないまま、命を扱う責任を背負って診療にあたることは、
本当の意味で“全力”を注ぐことにはなりません。
限られた時間とリソースだからこそ、リスペクトがある方のために使いたい。
それが私の信念です。
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夜間診察は「今は」行っておりません
ここではっきりお伝えしておきたいことがあります。
現在、アネス動物病院では夜間診察は実施しておりません。
ホームページにも診療時間は「9:00〜19:00」と明記しており、
夜間対応に関する記載は一切していません。
それにもかかわらず、「夜間に診てもらえなかった」といった趣旨の口コミが投稿されているのは、明らかに事実と異なります。
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「命を扱う責任」には、「発言の責任」も伴うべきだ
中には「命を扱う現場として、もっと責任を持て」といった趣旨のコメントをされる方もいます。
まさにその通り。我々は、命を預かる仕事に全力で責任を持っています。
だからこそ申し上げたい。
発言するあなたにも、その言葉に責任があるのではないでしょうか?
匿名で、虚偽を交えた批判をすることは、「責任ある行動」とは到底思えません。
名前を出して責任を持って仕事をしている我々に対し、一方的な主張をするのはフェアではないと思います。
口コミでもSNSでも、言葉には力があります。
だからこそ、言葉には責任を持つべきです。
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私たちが目指す動物病院のかたち
アネス動物病院は、お互いに敬意を持ち、信頼し合える飼い主様のために存在しています。
その方々のために、高度医療の提供、夜間診療の検討、24時間看護体制の整備を進めています。
もちろん、まだすべては実現できていません。
でも、目の前の命に真摯に向き合い、責任と覚悟を持って進み続けること。
それが、私たちの使命であり、揺るぎない信念です。
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発言にも覚悟を。
そして、互いを尊重できる関係を。
それが、命を扱う現場に必要な「対等な人間関係」だと、私は信じています。
2025.06.05