麻酔基礎認定医とは何か。本当に大切なのは「資格」ではなく「実力」です。
アネス動物病院の石塚です。
2年ほど前、日本獣医麻酔外科学会で「麻酔基礎認定医」という制度が始まりました。
私は現在、この認定試験の審査を行う立場でもあります。
そのため、この制度については中身もよく理解しています。
正直に言うと、この名称には少し違和感があります。
「麻酔基礎認定医」というより、「麻酔基礎知識修了」といった名前の方が
実態に近いのではないか、と個人的には感じています。
もちろん、名称そのものを批判したいわけではありません。
今日は、この制度について飼い主様に正しく知っていただきたいと思い、
ブログを書いています。
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■私はこの制度に反対でした
制度が始まると聞いた当初、私は賛成ではありませんでした。
理由は一つです。
資格だけが一人歩きしてしまうことで、
「安全な麻酔ができる先生」と誤解される可能性があると考えたからです。
一方で、学会からは
「麻酔を勉強する獣医師を増やしたい」
「麻酔に興味を持つ先生の裾野を広げたい」
という目的を伺いました。
その目的自体は素晴らしいものです。
麻酔を学ぶ獣医師が増えることは、長い目で見れば助かる命を増やすことにつながるでしょう。
その意味では、この制度には大きな価値があると思っています。
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■ただ、最近少し気になることがあります
Instagramなどを見ていると、
「麻酔基礎認定医取得しました!」
「当院には麻酔の専門医がいます!」
という投稿を目にする機会が増えました。
もちろん、努力して勉強し、試験に合格された先生方を否定するつもりは全くありません。
しかし、その情報を見た飼い主様が、
「この資格があるから麻酔が安全なんだ」
と思ってしまうのであれば、それは正しい理解ではありません。
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■麻酔基礎認定医とは何を認定している資格なのか
この資格は、
教科書レベルの基礎知識を理解していることを確認する試験です。
つまり、
「最低限の知識があります」
ということを証明する資格です。
逆に言えば、
・難しい麻酔管理ができるか
・重症患者を安全に麻酔できるか
・緊急時に適切な判断ができるか
・合併症へ対応できるか
これらを評価する資格ではありません。
実際の臨床能力や経験を認定する制度ではないのです。
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■麻酔は知識だけではできません
麻酔は非常に奥が深い分野です。
同じ手術でも、
・高齢動物
・心臓病
・呼吸器疾患
・肥満
・敗血症
・ショック状態
・新生児
・超小型犬
など、条件が変われば管理方法も全く変わります。
教科書を知っていることと、実際に目の前の患者を安全に麻酔できることは、全く別の能力です。
だからこそ私は、資格以上に、日々どれだけ麻酔と向き合い、
経験を積み、学び続けているかが重要だと思っています。
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■飼い主様に伝えたいこと
私はこの制度を否定したいわけではありません。
むしろ、麻酔を学ぶ獣医師が増えることは、とても良いことです。
ただ、
「麻酔基礎認定医=安全な麻酔ができる先生」
という解釈だけはしてほしくありません。
資格は、一つのスタートラインに過ぎません。
本当に重要なのは、
・どれだけ症例を経験しているか
・どれだけ麻酔を専門的に学び続けているか
・合併症に対応できる体制があるか
・チームとして安全管理ができているか
そうした積み重ねです。
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■最後に
資格は患者さんを救うための「手段」であり、「目的」ではありません。
私自身も、肩書きを増やすことより、一頭でも多くの命を安全に守れる獣医師でありたい。
その気持ちで、これからも麻酔と向き合っていきます。
もし病院選びで迷ったときは、資格だけを見るのではなく、
「どのような麻酔管理を行っているのか」
「どのような症例を診ているのか」
そんな点にもぜひ目を向けていただければと思います。
2026.07.30
